研修生全体ミーティング

当事務所では、研修生という形で学生や若い建築家のためのセミナーをしています。各自の興味や関心に従って、個人指導や全体ミーティングで、様々なことを話し合う機会を定期的に用意しています。今回の全体ミーティングでは、友人の二瓶正史を招いて、住宅地計画についてレクチャーをしていただきました。氏は宮脇檀建築研究室出身で現在、独立してアーバンセクションという事務所を運営している建築家です。住宅地計画の基本から、詳細設計まで分かりやすく説明があり、この分野の奥の深さを感じました。宮脇氏との共著「コモンで街をつくる」(丸善プラネット株)は写真、イラスト、詳細図面などがそろっている名著であり、そこからの資料も一部紹介されました。この中で興味深かったのは公と私の関係です。宮脇氏はこの境界を曖昧にすることが大切としました。昔の街路には遊びや語らいなど、様々な活動がありました。今は車が通る単に交通という意味だけの道路となっています。高い塀で家を囲み道路と分断するのではなく、曖昧にすることによって家と外との間に生活の場を作っていくという思想です。領有という言葉を思い出しました。公的なものを個人が使うという意味です。家の前の道端に花などを植えて手入れし楽しむなどの行為で、これが味わいのある街並みを作っていく、これも公と私の境をあいまいにすることの良さと思います。