吉村順三の上質な空間に無造作なエアコン、かなしき現実

吉村順三設計の仙石原箱根ガーデンに泊った。1階のダイニングとテラスと連続感、中庭から階段などへそそぐ自然採光、ヒューマンスケールのお風呂場、居間としての12畳和室のくつろぎ感、すっかり癒された。残念なことはエアコン機器の無造作な取り付けである。部屋の窓の中央部、垂れ壁に納まらず、板下地を設けて不細工に取り付けてある。バランスの良い割付けの吉村障子の横に出っ張って目に入ってくる。かなしいかぎりである。フロントに聞いた。皆さんの要望で夏の冷房のためエアコンをつけたとのこと、立面の屋外機が部屋毎にうるさく並んでいる。気取りのないシンプルな美さのあるデザインがぶち壊しである部屋のエアコンの取り付けを壁埋め込みにして、屋外機はマルチにして地上に設置、あるいは裏に置くなど、様々な代替案が思いつく。専門家を入れてしっかり検討していれば、このようにならなかったのにと、現実の状況をかなしく感じた。